クレジットカード・ローンの法律研究室



連鎖販売取引

・連鎖販売取引とは
・マルチ商法とマルチまがい商法、無限連鎖講との違いについて


連鎖販売取引とはどのような取引のことをいうのですか?

連鎖販売取引というのは、いわゆるマルチ手法のことですが、具体的には、次の要件を満たしている取引のことをいいます。

■物品(権利を含む)の販売(あっせんを含む)や、有償の役務提供(あっせんを含む)を行う事業者との取引であること

■その事業者が、販売目的の物品の再販売、受託販売、販売のあっせん、同種の役務提供またはそのあっせんをする者を「特定利益※」を収受することをもって勧誘すること

※特定利益・・・甲の勧誘により取引を始める乙が、次に商品等の購入や役務の提供を受ける丙が支払うことになる商品等の代金や取引料等の金銭の一部を、甲や丙から受け取ることができる利益のことをいいます。

■その者が、「特定負担※」を伴う、事業者と物品(権利を含む)の販売(あっせんを含む)や、有償の役務提供(あっせんを含む)に関する取引(取引条件の変更を含みます)をすること

※特定負担・・・上述の乙が、物品の購入、役務の対価の支払または取引料の提供を行うことをいいます。

ちなみに、連鎖販売取引では、特定商取引法上の訪問販売、通信販売、電話勧誘販売のように、指定商品、指定権利、指定役務の場合にのみに適用されるのではありません。

なので、すべての物品、権利、役務が対象になります。

また、連鎖販売取引というのは、商取引の経験が乏しい一般人を独立の事業者に仕立てあげて、多額の出資をさせるという弊害がありますので、「商品の販売等を店舗等によらないで行う個人」であれば、営業用の取引であっても保護されることになっています。

マルチ商法とマルチまがい商法、無限連鎖講とはどう違うのでしょうか?

ここで、マルチ商法とマルチまがい商法、無限連鎖講とはどこが違うのだろうとお思いになりませんでしたか?

実は、マルチまがい商法というのは、平成8年の特定商取引法(当時は訪問販売法)の改正前は、「再販売」だけが規制の対象になっていたので、「受託販売」や「販売(役務提供)のあっせん」による組織販売のことをそう呼んでいたのです。

平成8年の改正後は、こういった販売も連鎖販売取引の定義に含まれることになりましたので、現在はマルチ商法と同じ意味で使われています。

しかしながら、無限連鎖講は、マルチ商法と混同されやすいのですが、「無限連鎖講に関する法律」に定められているものなので、全く異なるものです。

無限連鎖講は、商品の販売や役務の提供を介在することなく、金品(証券)を出資する加入者が先順位者になり、順次後順位者の出資金から先順位者が利益を得るという配当組織のことです。

なので、マルチ商法は、法令を遵守しさえすれば適法な組織になるのに対して、無限連鎖講は、無限連鎖講に関する法律によって違法な組織として禁止されているという点で異なります。

一つ具体例を示しますと、

連鎖販売会社から「特定利益」の勧誘は受けないで、単純に商品を購入した人が、後から「商品のすばらしさを他の人にも勧めてみないか」といわれて勧誘を始めた場合は、最初の商品以外には「特定負担」に該当するものがないわけですから、マルチ商法っぽいですけれど、連鎖販売取引にはならないということになります。

連鎖販売というのは非常にトラブルが多いのも事実です。

これの根本的な原因は、他人をその組織に加盟するという行為自体に限界があることです。

統括者が2名で取引を始めて、その下のセールスマンが毎月2名ずつ勧誘したと仮定すると、32か月間で地球上の全人口がセールスマンになるという計算があります。

結局、このシステムは、自分が泣くか、自分の友人や家族を泣かせるシステムなんですね。


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