どのように改正されたのですか?
増加する個人破産者の生活再建や長期の破産手続の迅速化を図るため、これまでの破産法が全面的に見直され、新破産法が成立しました。
具体的には、次のように改正されます。
■「破産申立て」から「破産手続開始の申立て」への変更
⇒ 旧法では、「破産の申立て」または「破産・免責の申立て」でしたが、新破産法施行後は、「破産手続開始の申立て」となりました。
⇒ また、「破産宣告」という法律用語もなくなり、申立人は「破産手続開始決定」により「破産者」となります。
■債務者からの破産手続開始の申立てがあった場合には、免責の申立ても同時にしたものとみなされます。
⇒ 旧制度では、破産申立てをして破産宣告がなされた後に免責に申立てをしていましたが、これが一本化されました。
⇒ これによって、問題となっていた免責申立てを忘れたり、破産手続開始決定(旧法の破産宣告)後の債権者からの財産の差押えはできなくなりましたので、簡易・迅速な手続きとなりました。
■個人破産については、破産者の手元に残すことができる「自由財産」の金額が99万円に引上げ
⇒ 旧法では、66万円の金額しか認められていませんでしたので、これですと再出発の金額としては低額すぎるとの理由から、月の必要生計費(33万円)の3か月分に当たる99万円に引上げられました。
■刑事事件や交通事故などの被害者への損害賠償や子の養育費は免責されないことに
⇒ 免責というのは、借金を免除することですが、現行法では、租税、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求などに限定されていました。しかしながら、改正法では、これらに加えて、次のものが追加されました。
・破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
・以下に掲げる義務に係る請求権(@夫婦間の協力および扶助の義務、A婚姻から生ずる費用の分担の義務、B子の監護に関する義務、C扶養の義務、前期@〜Cまでに掲げる義務に類する義務で、契約に基づくもの)
■その他、破産申立ての増加を踏まえ、債権者が多い大型企業破産は、東京・大阪地裁で集中処理ができるようになり、小規模の場合には簡易な手続きによる処理を可能にしました。 |